DEMOCRACY for the FUTURE

民主主義の未来

「民主主義の未来」プロジェクト

冷戦終結により共産主義は自壊し、勝利した自由と民主主義が世界に拡散していくと信じられていました。ベルリンの壁崩壊から30年が経った今、世界各地では権威主義的統治手法が拡大し、先進民主国でさえポピュリズムの台頭でぐらつき始めています。今日の世界において、民主主義は顕著に後退していると言っても過言ではありません。

こうした問題意識を踏まえ、日本国際交流センター(JCIE)は、国際秩序と普遍的価値が現在どのような脅威に晒されているのかを理解し、日本としてどのような政策を展開できるのか検討する研究プロジェクト「民主主義の未来 -私たちの役割、日本の役割」を2018年に開始しました。

プロジェクトについて

エッセイ

『香港の民主派活動家に対する圧力拡大 -国際社会の注視必要 』

市原麻衣子:一橋大学 法学研究科 准教授

世界の注目がコロナウイルスに集まる中、香港政府が民主派の逮捕を続けている。平和的にデモを行った穏健派をも逮捕し、たとえ平和的なデモであっても、民主派デモに参加する者は取り締まるとの意思表示をしている。9月の立法会選挙に向けて民主派の逮捕および立候補剥奪が続く可能性があり、国際社会は注視が必要である。

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『デモスの緩み、クラティアの歪み 』

小竹洋之:日本経済新聞社編集委員 (研究会外部執筆者)

デモクラシー(民主主義)の語源は、ギリシャ語の「デモクラティア(demokratia)」だという。民衆を意味する「デモス(demos)」と、権力を意味する「クラティア(kratia)」を結合した言葉である。

 経済格差の拡大や移民・難民の増加などにいら立ち、利己的で排他的なムードに傾く民衆。そうした負の感情をあおって権力を握り、独善的な政治に走る選良――。米国や欧州をはじめとする民主主義国家が直面するのは、デモスの緩みとクラティアの歪みが連動した複合危機と言ってもいい。

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『外国政府によるサイバー空間を通じた選挙介入: 2016年米大統領選挙と2018年台湾統一地方選挙 』

川口貴久:東京海上日動リスクコンサルティング 上級主任研究員 (研究会外部執筆者)

外国政府の介入・干渉によって公正な選挙が妨害される事態が生じている。それは特定の候補者や政党を貶めるだけではなく、選挙や民主主義そのものの信頼を揺るがしている。勿論、こうした選挙介入自体は新しい現象ではない。しかし、最近では情報インフラの拡大、情報技術の進化、プラットフォーマーの影響力増大を背景として、これらを悪用して選挙介入の効果を最大化しようとするケースが増えている。2016年米大統領選および2018年台湾統一地方選ではサイバー空間を通じた干渉が強く疑われている。本稿ではこの2つの事例を紹介する。 <続きを読む

『民主主義の促進から包摂的な社会の促進へ:国連の役割』

高須幸雄:国連事務総長特別顧問  (研究会主査)

国連は、選挙や憲法制定プロセスに関与し、多数の民主国家建設に大きな役割を果たしてきた。近年、強権政治や大衆迎合政治の拡大に伴い、「民主主義が開発の前提であり、開発が進めば民主主義が定着する」との立場が挑戦を受けている。SDGsの目標16(平和で安全な包摂的な社会を促進する)は国際的な行動規範となった。懸念国との対話を通じて、改善を求め、民主化が後退しないようにすることは可能である。  <続きを読む>