DEMOCRACY NEWS

腐敗防止に関する米国のグローバルリーダーシップを取り戻す

2020年7月1日
Carnegie Endowment for International Peace

米国の次期政権に対し、国際的な汚職対策を重視するよう求めるエッセイ。外国勢力が汚職を戦略的に用い、影響力を拡大している点などが指摘されている。

【要旨】
腐敗は、移民、麻薬の密売、過激派によるテロ等を誘発したり、それらの動きを法治的に取り締まるための社会基盤や法の支配を弱体化させ、政情と経済財政が不安定な国々をますます脆弱化させる。現に、中国やロシアなどの勢力が、他国で汚職を戦略的に用いてこうした流れをつくり、自国の利益と影響力を増大させている例が、アジアやアフリカ、中南米の国々で起きている。結果、安全保障、世界経済、グローバルヘルス等あらゆる面において、国際社会と米国の利益が損なわれている。
 米国が、国際的にも腐敗防止のリーダー役を担ってきたことは、1977年の米国外国腐敗行為防止法(FCPA)、2010年のドッドフランク法、1999年の経済協力開発機構(OECD)贈収賄防止条約、2005年の腐敗防止国連条約(UNCAC)等をリードしてきた歴史が示すとおりである。しかしながら、トランプ政権発足以降は、国内政治においても国際政治の舞台においても、この重要な課題の政策面での優先順位が目に見えて下落している。同政権が、腐敗防止策支援を目的とする外国への援助額を削減したり、G7議長国であったにも関わらず反汚職を優先しなかったことなどにより、この分野における米国の関与と存在感は劇的に減少してしまった。
  次期米政権には、国内の組織・制度改革や秩序の整備、多国間協力の強化、ガバナンス力の脆弱な国々への大胆な支援等に取り組むことにより、腐敗防止に向けた世界的な取り組みを前進させ、その分野における国際的リーダーシップを取り戻すことが期待される。そのために次期政権がすべきこととして、以下の対策が求められる。

1.腐敗の政治的「兵器化」に対する防御策を講じる
● 一部勢力が、自国の影響力を高めるために、他国の主権を弱体化させ「戦略的汚職」を展開している実態を明らかにする。
● 脆弱な同盟国を強化・支援するために、政治的透明性への対策を促進し、汚職行為者に制裁を加え、改革推進派のナラティブを増幅する。
● 多国間組織の中で、腐敗防止基準が危機に直面した場合には、その基準を守る。
● オープンガバメントパートナーシップ(OGP)を通じた国際協力の再強化と国内におけるOGP実施体制を確立する。

2.政治的対応力を高める反汚職支援を行う
● 腐敗行為防止基金(Anti-Corruption Action Fund)などを通じて、ガバナンス改革の好機にある国へのサポートを優先する。
● 統治と民主主義が後退する危機にある社会が、クレプトクラシー(権力者が国家資源・資産の私物化する政治)に抵抗するのを支援する。
● 戦略的市場におけるビジネス環境を強化するために、ガバナンスを主眼にした官民パートナーシップを確立する。

3.腐敗防止の視点を主流に位置づける
● グローバルヘルス支援に向けた支出を増加し、保健システムのガバナンス強化をする。
● 災害援助における汚職リスク軽減にむけた国際基準を策定して導入する。
● 安全保障支援と防衛輸出を検討・決定する要素の一つに、腐敗リスクを加える。
● 諜報活動における情報収集、分析、運用の際、汚職と腐敗を優先事項として考慮する。

4.米国のリーダーシップの実現にむけて
● 関連機関の責任者に、腐敗防止問題の優先順位を高め、米国の行動計画を策定する権限を与える。
● 米国大使館が駐在現地の腐敗に対処できるよう内部に専門家集団を育成する。
● 国家安全保障理事会で省庁間の腐敗防止アジェンダの優先順位を引き上げる。
● 不正な資産を米国内に隠すことを可能とし、米国の信頼性を損なうもととなる、選挙資金とマネーロンダリング防止法の欠陥に対処する。
● 米国の腐敗防止法の世界的な執行を促すことによって米国企業の競争条件を平準化し、他の法域のより強力な執行を促す。

(文責:JCIE)

 

原文を読む Regaining U.S. Global Leadership on Anticorruption 

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