今日、冷戦終結後初めて世界人口の半数以上が権威主義体制やポピュリスト政権のもとで暮らしているとされています。個人の自由や報道の自由の制限、法の支配の弱体化、ポピュリズムの台頭など民主主義の後退が懸念されており、その傾向は新型コロナウイルス感染対策によりさらに加速しています。今回のウェビナーでは、提言書 “The Sunnylands Principles on Enhancing Democratic Partnership in the Indo-Pacific Region” 「インド太平洋地域における民主的統治を促進するパートナーシップ強化に関するサニーランズ原則」*(2020年7月発表)を紹介するとともに、包摂的で透明性のある民主的パートナーシップを構築するための具体的な方途や、その過程で既存の多国間枠組みや日本に期待される役割について、インド、韓国、インドネシアからのパネリストらによる率直な意見交換が行われました。
また、ウェビナーに先立って開催された国会議員を対象としたオンライン懇談会では、上記提言書に中心的に携わったマイケル・グリーン氏とマルティ・ナタルガワ氏をパネリストに迎え、10名の国会議員とともに、いかにして日本が地域諸国と連携しつつ包括的且つ透明性のある方法で民主的ガバナンスを構築するか、また、そうしたリーダーシップを発揮する上で日本の政治家がどのような役割を果たすことができるかについて活発な意見交換が行われました。
本プロジェクトでは、今回のようなウェビナーを含め、
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(*)サニーランズ原則とは:世界人口の半数以上が権威主義体制のもとで生活しており、民主主義の退潮傾向が懸念されています。これを受け、2020 年 1 月、 戦略国際問題研究所(CSIS)が、全米民主主義基金(NED)およびアネンバーグ財団と提携し、インド太平洋地域の有識者らをカリフォルニア州サニーランドのアネンバーグ・エステートへ招集し、民主主義先進諸国が民主的ガバナンスを支えるための戦略について議論しました。同年7月、この討議内容を踏まえた提言書がCSISから発表され、民主主義の多様性、近隣民主主義国に対する支援の重要性、民主主義国を支援する際の総合的なアプローチを10の原則として取りまとめられています。日本からは、当プロジェクトの高須幸雄主査が議論に参加し、この提言書に署名しました。