エッセイ

研究会メンバーと外部執筆者による書き下ろしエッセイです。

小竹 洋之 (日本経済新聞社編集委員)
2020年3月31日 2021年2月22日英訳追加
2020年3月に公開した本エッセイの英語翻訳を追加しました。
竹中 治堅 (政策研究大学院大学教授)
2020年5月17日 2021年2月18日英訳追加
2020年5月に公開した本エッセイの英語翻訳を追加しました。
Finding Crosscurrents of Democracy in Asia
マクシーン・ターニャ・ハマダ (リーダーシップ・エンパワメント・民主主義研究所)
Maxine Tanya Hamada Institute for Leadership, Empowerment and Democracy (iLEAD)
2020年12月15日
フィリピンの首都マニラから北へ約 200 キロメートルのところにあるバギオ市は、海抜 1,471 メートル、冷温気候の高原である。フィリピンのような熱帯の国にあっては、その涼しい気候が際立っている都市だ。
Corona-Tracking and Privacy: The Opposite Approaches of South Korea and Japan
市原麻衣子 (一橋大学法学研究科准教授)
Maiko Ichihara (Hitotsubashi University)
2020年11月5日
新型コロナウイルスという目に見えない敵が現れた。誰が感染しているのか、どこにウイルスが付着しているのか分からない中でこの敵と戦い続けることは容易ではない。各国政府が次から次へとITを用いた感染者追跡を開始したのは、この目に見えない敵をできるだけ可視化し、管理可能にするためであった。
Challenges to Rule of Law, Democracy and Human Rights after the Outbreak of COVID-19 from a Swedish Perspective
マーク・クラムバーグ博士 (ストックホルム大学)
Mark Klamberg (Stockholm University)
2020年7月17日
健康、経済、政治といった生活のあらゆる側面に影響を与えてきた新型コロナウイルスの パンデミックに対処するための正しい戦略と対策について、世界中あらゆる国々で重大な 議論が交わされてきた。何が正しい戦略なのか現時点では不明であり、本稿はその結論を 見出す試みではない。しかし本稿は、スウェーデンも他の国々も、法の支配、民主主義、人権という基本原則を尊重しつつ、ソフトな対策も積極的なパンデミック対策も講じ得ると論じる。
市原 麻衣子 (一橋大学法学研究科准教授)
2020年5月18日
世界の注目がコロナウイルスに集まる中、香港政府が民主派の逮捕を続けている。平和的にデモを行った穏健派をも逮捕し、たとえ平和的なデモであっても、民主派デモに参加する者は取り締まるとの意思表示をしている。9月の立法会選挙に向けて民主派の逮捕および立候補剥奪が続く可能性があり、国際社会は注視が必要である。
The Twin Crises of Public Health and Rule of Law
エリザベス・”ベッツィー”・アンダーセン、テッド・ピッコーネ (ワールド・ジャスティス・プロジェクト)
Elizabeth Andersen and Ted Piccone (World Justice Project, WJP)
2020年5月
今般のCOVID-19パンデミックは、多くの国でグッド・ガバナンスの重要原則が損なわれるという数年来続いている世界的な法の支配の危機の最中に発生した。公衆衛生と法の支配という双子の危機が、このパンデミックを特に危険なものにしている。このパンデミックによって法の支配がさらに圧迫され、時を追うごとにますます侵食される恐れがあるからだ。同時に、法の支配の格差は、COVID-19の危機を悪化させ、私たちが効果的に対応する能力を損なう危険性がある。
矢吹 公敏 (矢吹法律事務所弁護士 )
2020年4月28日
今回のCOVID-19との戦いについて、市民社会が、その特性である良心と理性により、人権に対する深い尊重の念を維持し、ポピュリズムや全体主義の方がウイルスとの戦いには有効であるといった考え方を寄せ付けない力強い集団を維持していくことが大切であると考える。
志賀 裕朗  (JICA緒方貞子平和開発研究所 )
2020年4月23日
ロシアは、コロナ感染拡大に苦しむ国々に対して人道支援を実施している。それは、軍を動員した迅速な支援であり、しかも「敵陣営」であるNATO/EU加盟国(アメリカやイタリア)も支援しているという点において特異である。尤も、その質には疑念が呈されているし、国内で異論が出るに及んで、その持続可能性はなお不透明である。
志賀 裕朗 (JICA緒方貞子平和開発研究所 )
2020年4月22日
新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、そのインパクトの大きさが人々を震撼させるなか、「パンデミックをどう終息させるか」の議論と並行して、「コロナ終息後の世界はどのような世界になるのか」を問う議論が世界中で沸騰している。ある者は「脱グローバリゼーションの加速」を予測し、またある者は「自国第一主義の時代の到来」を予測する。そのなかでも有力なのが、「欧米諸国の自由民主主義体制と中国・ロシア等の権威主義体制の体制間競争」の激化を予測する声である。