用語集​

ハイブリッド・ピース

ハイブリッド・ピースとは、紛争後国家の国家建設を進める際、自由主義的価値と現地の慣習や規範を折衷させて行われる平和構築支援を指す。

冷戦終結前後から増加した内戦を受けて、内戦終結後に対外アクターによる平和構築支援を必要とする脆弱国家が増加した。国連等の対外アクターは、こうした紛争後地域において市場経済、民主主義、自由権の制度化を内包した国づくりを行ってきた。しかし現地の慣習や規範をないがしろにした自由主義的介入(リベラル・ピースと呼ばれる)アプローチは国家構築に失敗し、かえって紛争や暴力が助長されてきたとの批判的見方が生じていた。こうしたことを背景に提唱されたのが、ハイブリッド・ピースである。このアプローチでは、平和構築の過程で現地の資源やアクターが動員される。ハイブリッド・ピースは、これを提唱すべく形成された概念であり、規範的性格を色濃く持っている。

ただし、受益国政府の意向を色濃く反映したアプローチは現地社会の声を無視する可能性があるとして、ハイブリッド・アプローチに対してもまた批判的な見方がある。

<参考文献>

Oliver P. Richmond, A Post-Liberal Peace (New York and London: Routledge, 2011).

藤重博美、上杉勇司、古澤嘉朗編『ハイブリッドな国家建設 -自由主義と現地重視の狭間で』(ナカニシヤ出版、2019年)。

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